イラストレーションスタディーズ

イラストレーションをスタディする。

本書は従来の美術史のあり方を見直し、それまで欠落していたイラストレーションの概念をきちんと位置づけて再構築するところからスタートします。原始絵画から始まり現代に至るまでのイラストレーションの歴史をたどり、その表現の発達や分化について、画材やメディアの発達、社会環境の変化などとも照らしながら考察していきます。歴史的側面だけでなくコミュニケーションツールとしてのイラストレーションの機能や役割、多様な表現についての分析、さらには描き手たるイラストレーターのビジネスのありようについても多面的に考えていきます。

本書は秋山氏が「イラストレーション」誌で連載した「イラストレーション学事始」「イラストレーション学原論」を再構築した多摩美術大学の研究レポート「イラストレーションスタディ」を基に、さらなる加筆修正を行ってまとめたものです。

著者：秋山 孝（イラストレーター・多摩美大教授）

【主な内容】

【1時限目】　イラストレーションとは？～起源と発展史
イラストレーション学がなぜ必要なのか／イラストレーションの定義／なぜイラストレーターは美術史を学ばなければならないのか／印刷メディアとともに発展したイラストレーション
 
【2時限目】　美術史にイラストレーションを位置づける～海外のイラストレーション史
風刺のメッセージから始まるイギリスのイラストレーション／ポスターを中心としたフランスのイラストレーション／アメリカン・イラストレーション発展史／ルネサンスの絵画作品はイラストレーションの機能が重要だった／ヨーロッパにおける絵本の発展について／ポーランドのイラストレーションポスターの独自性／プロパガンダとイラストレーションポスター
 
【3時限目】　美術史にイラストレーションを位置づける～日本のイラストレーション史
中世～近世の日本のイラストレーション／日本のイラストレーションの夜明け／日本の絵本と漫画の発展／第二次大戦以後のイラストレーションの変
 
【4時限目】　イラストレーションの表現手法と画材の発展
画材の誕生と発達／イラストレーション表現とリアリズム／イラストレーション表現とデフォルメ
 
【5時限目】　イラストレーションのシステムとメディア
イラストレーションのビジネス構造／コミュニケーションツールとしてのイラストレーション／イラストレーションが活躍するメディア／メディアの多様化と高度情報化時代
 
【6時限目】　イラストレーション教育とイラストレーターの自立
現在のイラストレーション教育に欠けているもの／イラストレーターが自立していくために
 
【付録】
イラストレーションに関する30のQ&A／イラストレーション年表／日本のイラストレーション発展に貢献した人々（人名事典）