ザ・チョイス特別編「THE CHOICE × ROOTOTE」出力サンプルチェックレポート
3月6日、入稿したデータをもとにインクジェットで出力したサンプルの色校正が行われ、 トートバッグを製品化するためのアートディレクションを担当いただいたセキユリヲさんが立ち会いました。 場所はROOTOTEの協力先であるインクジェット試験加工場「INKMAX」※。 ROOTOTEからは神谷常務と広報の郡山さんが出席、もちろん編集部も同行しました。 ※INKMAXは伊藤忠商事(株)と三菱鉛筆(株)の共同研究事業です。
今回製品化するトートバッグ10種類のうち、9種類でインクジェットプリントを使用します。
入稿の時点で、色の発色や細部の再現が難しいと予測されていたものがいくつかあり、それを中心にチェックします。
校正の前に、トートバッグのプリントに使用するインクジェットプリンターを見学。
今回はあらかじめ縫製されたトートバッグに直接プリントしていくのですが、
多少の厚みと凹凸があるため、普通のプリンターは使用できません。
写真のような、テキスタイル専用の特殊なプリンターを使って、1点1点プリントしていきます。
このプリンターはインクの液滴のサイズをプリントするものに合わせて調節できるようになっています。
ただし、プリントヘッドとプリントするものの距離が離れるとインクの着弾位置がズレて絵柄がぼやけてしまうため、プリントヘッドとトートバッグが接触しないギリギリの距離を狙っていきます。
印刷位置は、左右は数値入力で正確に決められますが、上下方向は目視で合わせていきます。
特に今回はさまざまな大きさや形のトートバッグを使用するので、それぞれ調整が必要になります。
こちらは主にTシャツのプリントに使用されるやや小型のプリンター。
プリントするものを台に固定して、ヘッドの位置や高さを調整するところは基本的に同じですが、
印刷範囲が狭いので、小さめの横型トート「デリ」へのプリントに使用します。こちらの方がやや印刷精度が高いそうです。
さて、校正開始です。布地は表面の目が粗く、多少の色の沈みもあって再現性は紙より落ちます。
地色や風合いがあるため、見た印象も変わります。それも頭に入れながら、どのように製品に落とし込んでいくかという作業です。
まず色の転びはないか、浅くなったり濃すぎたりしないか。
トーンや細部がつぶれたり飛んだりかすれたりしていないか、絵柄の印刷位置やサイズは大丈夫か、ゆがみはないか等々、紙の出力見本も参照しながら、セキさんが出力見本を細目にわたってチェックしていきます。
出力を担当するINKMAXのスタッフの方から説明を受けながら、
セキさんが「ここのディテールをもっと出したいですね」「これは全体の濃度をもう少し上げられますか?」と注文を出していきます。
問題点とその原因は何か、どこまで改善可能か、どうすればもっと良くなるかなど、神谷常務も加わって話し合い、修正の方向性を固めていきます。
修正があった中で、特に難易度が高いものについては、その場でデータを調整して再度出力してみます。
入稿データはIllustratorで作成されていますが、元になる画像をPhotoshopで補正。
色が浅く眠いものはコントラストと濃度を上げる方向でデータを調整。
これを出力してみると初校との違いは明らかで、ぼやけた印象だった絵柄が引き締まってくっきりしました。「すごくよくなりましたね。この方向でお願いします」
インクジェット出力で製作する9個のあと、別途転写プリント方式で作成した残り1種類のサンプルもセキさんがチェック。
2時間ほどで全ての確認作業が終了しました。
お疲れさまでした。
この場で出された指示に沿って、引き続きINKMAXで修正・調整作業が進められ、再度チェックを行っていよいよ完成になります。