イメージ:第195回審査 大塚いちおさんの審査

第195回審査 大塚いちおさんの審査

イラストレーター・大塚いちおさんによる第195回ザ・チョイスの審査が5月26日に行われました。応募数は約360人、1,300点。

まだ5月というのに夏日。暑い午後、大塚いちおさんは予定どおり到着。大塚さん自身、学生時代からザ・チョイスには応募していて、チョイスにはひとかたならぬ思い入れがあり、今回の審査をとても楽しみにしていたそうです。

審査がスタート。目の前に順番に並べられる作品を見て、早すぎず遅すぎずというペースで「それ残します」「残しません」と声をかけていきます。時折「うわー、これは(判断が)難しいなぁ」という作品が現れるものの、あまり考え込まず、迷ったらとりあえず残しておく方針で進めていきます。1時間ほどで一通り作品を見終えました。まだ半分以上は残っているでしょうか、いつもよりは残す作品が多めな感じです。

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続けて、同じ形で作品を見てさらに絞っていきます。「2回目はもっと厳しくしなきゃダメですね」と言いつつ、それでも半分程度は残るくらいのペース。「う〜ん、いかんなぁ(笑)。でもみんなうまいですよ」。2回見終えて、全体の4分の1くらい、まだ100人以上は残っています。

ここでコーヒーブレイク。大塚さん自身がチョイスに応募していた時の話を伺いました。まだインターネットはなく、世に出る手段はコンペしかない時代。ちょうど公募展ブームが収束に向かう時期で、日本グラフィック展は2度準入選になったところで終了。チョイスが唯一の手段になり、毎回必死で応募していたそうです。「審査の時期はいつもドキドキでしたね。初めて入選したのはギリギリ美大を卒業する時でした」

大塚さんは3回のチョイス入選を果たし、プロの道に進む上で大きな力になったと言います。その後はイラストレーションの仕事をしながら、ちょうど始まったHBファイルコンペで宇野亞喜良賞となり、そこから仕事が増えていったそうです。

審査再開。まだ残っている作品が多いので、もう1度絵を見ていきます。心を鬼にして絞り込む作業なのですが、途中からまた残る作品が多くなります。「いい絵が多くてなかなか絞れない。似た傾向の絵もあるから、(比較して)その中からいいものを選ぶようにします」。ここまでで約2時間、まずまずのペースで進んでいます。

ここからは残った作品を机に並べていきます。が、まだ机に全部並びきれず、半分近くが残っています。入選候補と落とす作品を外して、空いたスペースに次の作品を置いていく形で進めていきます。机の周りを歩き、気になる作品を手に取り、考える大塚さん。何度も作品を見返して、一番いいと思うものを上にしておきます。いくつかの作品が落とされ、いくつかが入選候補としてピックアップされましたが、なかなか作品が減りません。この段階まで残った作品は一定の合格ラインには達している、ということでしょう。

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絞り込みとピックアップが進んで、残った作品すべてが机に並んだのは、審査開始から4時間が過ぎようとしている頃。まだちょっと数が多いので、もう少し絞り込んでいただきます。大塚さんの中で傾向が近いと思われる作品同士を比較して、よりよい方を残していきます。入選・準入選合わせた候補が規定の16人に達し、他に残っている30人を最終選考対象としました(まだ入れ替えあり)。

入選候補16人分の作品を机に戻して右側に寄せ、残っている作品のうち、もう選ばないと決めたものは外して机の上をすっきりさせます。さらに入選と準入選に分けていきますが、選外になっている作品も見直して、いくつかを入れ替えました。そろそろ確定か?というところまで来ましたが「(現段階で)入選にした作品はちょっとモノトーンが多いかな。なるべくいろんなタイプの作品を選びたいし、もうちょっと悩むことにします」

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さらに少しの入れ替えを行って、入選・準入選が確定したのは午後7時すぎ。選外から浮上した作品がある一方で、当初の入選候補で最終的に選外になったものもありました。掲載作品を決める際、最もよいと思う作品を選ぶのは当然として、大塚さんは年度賞審査も考慮して、複数点を載せる場合はバリエーションを見せるのか統一感を出すのか、作家ごとに判断しました。

結果は下記のとおりです。

入選▼

●阿部結(東京都)

●ヌトグラン(北海道)

●ササキエイコ(東京都)

●原けい(東京都)

●曽田義春(東京都)

●ジャイアント麗子ちゃん(埼玉県)

●螢田みょんこ(神奈川県)

●山口ユリエ(東京都)

●竹島さとみ(東京都)

●あいざわりさ子(神奈川県)

準入選▼

●藤田恵(東京都)●辻川奈美(東京都)●岩村亘(埼玉県)●くらちなつき(東京都)●瀬尾夏美(岩手県)●吉泉ゆう子(神奈川県)

最後に大塚さんに審査を行った感想を伺いました。

「いや〜、難しかったけど楽しかったです。僕自身もかつて応募していて、(最終選考に残れず)名前さえ出ない時はホント悔しかったけど、こうやって選ばれていたんだなぁと実感できて、あの時の自分がちょっと誇らしく思えました」

お疲れさまでした!

入選・準入選作品と大塚さんの講評は7月18日のイラストレーションNo.207に掲載いたします。お楽しみに。


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