第204回ザ・チョイス たむらしげるさんの審査
イラストレーターのたむらしげるさんによる審査が8月2日に行われました。 応募人数は約270人、応募点数は約900点。その審査の模様と結果をレポートします。
流行に左右されず、良いと感じる作品を
たむらしげるさんによる審査は今回が2回目ですが、実に24年ぶりの審査となります。会場に到着してまもなく、審査の流れを確認した上でたむらさんからひと言。
「最近のイラストレーションの流行などはわからないので、単純に自分が良い、と思うものを選んでいこうと考えています。でも、流行りのだれかの作品に近い、というようなことがあれば教えてくださいね」
たむらさんならではのチョイスが期待されます。応募者の方々もそれを望んで、渾身の作品を送ってきたはず。
さっそく始まった1次選考では、残してじっくり見たい作品と、残念ながら見送りとなる作品に分けて判断していきます。シンプルなタッチで描かれた作品も、一つひとつ手にとって、じっくり確認するたむらさん。
「この作品は僕のチョイスでは選ばないかな」
「惜しいけど、自分の世界がまだ甘い気がする」
「テクニックはすごいけど、それ外すと何も残らないなあ」
言葉数は少ないものの、慎重に審査を続けていきます。ある程度慣れてきたところで、審査のスピードも徐々に上がっていきますが、判断に迷うときは時間をかけて見極めます。
描き出すために、世の中にふれる努力を怠らない
審査から1時間半ほどで1次選考が終わり、休憩タイム。この時点で5分の1程の作品が残りました。休憩中に、たむらさんのお話を伺います。まずは、ひと通り作品を見た感想から。
「だいぶ前になりますが、1回目に審査した時に比べて、全体的に印象が“かるく”なりましたね。青春そのもの、かわいい系などジャンルはありますが、最近はそういう傾向にあるのかな。あくまで審査基準は自分の好みで、描くのが上手いかどうかはまた別ですね。落とした作品の中には、ぼくより上手いし、イラストレーターとしてやっていける、と思った作品もありました」
また、残した作品と落とした作品の違いについて、作品をジャッジした上であらためて訊いてみました。
「自分が描きたいものがわかっているかどうか、というのは前回とも変わらない判断基準の一つですね。無理して描いていれば、見る側もちゃんとそれを感じる。わからない人は、本を読んだり、映画を観たり、世の中にあるものを栄養として取り込まないといけません。何百倍というものを吸収しないと、描きたいものが自分から出せないのだと思います」
たむらさんと一緒に過去の本誌を眺めつつ、時代や流行が変わってもイラストレーターに求められる本質について考えさせられます。
2次選考がスタート。残した作品をもう一度目の前に置いて確認していきます。1次選考で迷っていた作品も今度は素早くジャッジし、残された作品は20名分。ここから入選10名、準入選6名をチョイス。最後に、掲載される場合の見え方なども考慮に入れながら、入選作品を慎重に決めて審査が終了しました。
審査結果は、以下のとおりです。
【入選】
平井利和、花田栄治、船津真琴、野田奈津実(東京都)
村松佑樹(埼玉県)
原田俊二(千葉県)
南景太(岐阜県)
光内亘利(大阪府)
西村隆史、畠田由佳(兵庫県)
【準入選】
庄野紘子、阿部結、イイダヒロマサ、モリタモモコ(東京都)
綾野本汰(埼玉県)
仁方越由夏(神奈川県)
【最終選考まで残った人々】
田口実千代、村田香織(東京都)
大久保つぐみ(埼玉県)
古屋郁(山口県)
入選作品とたむらしげるさんの審査評は、2017年10月18日発売のイラストレーションNo.216に掲載いたします。どうぞお楽しみに!