ローラープリントテキスタイル - インドの布への憧憬と産業革命がもたらしたもの
A4変型判 208ページ
定価:本体3,500円+税
ISBN 9784768316818
発展の歴史が垣間見える、貴重なテキスタイルの数々
「ローラープリントテキスタイル(銅ローラー捺染)」は産業革命によって生まれた機械刷りの布の総称です。マンチェスターを中心に後年日本やドイツでも生産されるほど、当時としては革新的な技術を用いたこの魅力ある布は、16世紀には世界中の羨望の的であったインドのテキスタイルとそれに携わる職人たちを脅かす存在でもありましたが、いまではアンティークとなり、当時の流行や美意識、技術革新の歴史が読み取れる貴重な資料でもあります。本書ではインド・ラージャスターン州ジャイプルで長年アンティーク商を営むサバーシュ・シャルマとジャティン・シャルマ親子の膨大なコレクションから、選りすぐりの美しく貴重なテキスタイルをご紹介します。インドの研究者・キュレーターのプラモド・クマール KG、イギリスで長年テキスタイルについて幅広く研究を続けるフィリップ・A・サイカスによる解説付き。
*全文日本語・英語併記。
〈著者プロフィール〉
ジャティン・シャルマ(Jatin Sharma)……アパレルプロデューサー、コレクター。父と叔父が設立したインド、ジャイプールのアンティークショップ「ラージャスターン・ファブリックス・アンド・アーツ」で17歳の頃から学び、インドの伝統的な手仕事や民族衣装の美しさを現代の解釈でリバイバルさせたいと2005年に自身のアパレルブランド「サタヤム・ガーテックス」を設立。インド国内だけでなく、欧米や日本でも展開している。
野瀬奈津子(Nose Natsuko)……編集者、ライター。KAILAS名義でインド関連書籍の企画・編集も行う。著作に『かたちのなまえ』『もようのゆらい』『タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(いずれも玄光社)、『地球の歩き方インド』(地球の歩き方)、『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)などがある。
〈執筆者プロフィール〉
プラモド・クマール KG(Pramod Kmar KG)……インドの美術館にキュレーションやアドバイスを提供するエーカ・アーカイブ・サービス(www.ekaresources.com)の共同創設者・ディレクター。専門はインド亜大陸のモノ文化で、関連のキュレーションや講演をインドや世界各国で行っている。インド、ニューデリー在住。
フィリップ・A・サイカス(Philip A Sykas)……テキスタイル保護、美術館学芸員をつとめたのち、テキスタイル研究の道に進む。2000年の彼の博士論文は19世紀のキャリコプリンターの模様帳からデザインや技術、ビジネスを読み解いたもので、以降ヨーロッパでのテキスタイルプリントについて幅広く研究を続けている。見本帳や商日誌などから詳細な視覚的資料を用いて、技術発展や国際貿易などの歴史を紐解いている。2022年、全3巻からなるキャリコプリント産業、コマーシャルテキスタイル貨物、廃テキスタイル産業などの包括的な歴史的資料を完成させた。現在は研究と並行して、企業のアーカイブ作成やイギリスのプリントテキスタイルの年代特定など幅広くコンサルティングも行っている。
【目次】
はじめに……野瀬奈津子
コレクターより……ジャティン・シャルマ
インドのテキスタイルの歴史……プラモド・クマール KG
ローラープリントの発展……フィリップ・A・サイカス
1. ドット・格子・ストライプ
2. 和・モダン・レトロ
3. 小紋
4. 幾何学
5. ヨーロピアン
6. ペイズリー
7. つる・唐草
8. ラベル
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